■おいしさ引き立て、日常の薬味にも最適
アサリにサクラエビ、新タマネギや春キャベツと旬の魚介や野菜が店頭をにぎわしている。毎日の食卓にいっそうの彩りをと胸も高まるが、調味の一つにオリーブオイルを使うことで、食材のおいしさをさらに引き立たせ、健康にも心を配った献立を作ることができる。(谷口康雄)
季節の食材を生かした和の料理で人気のうどん店「さぬきや」(東京都杉並区)はエキストラバージンオリーブオイルを使ったメニューを取り入れている。今月から提供を始めたうどんは、煮干しと昆布のだしに豆乳クリームなどを合わせた冷たいつゆにヨモギを練り込んだめんを入れた。めんの上には調味みそ、シソ、ミョウガなどをあしらったアジの刺し身がのる。めん、みそにオリーブオイルを加えて食材の風味を生かした健康的な和食に仕上げている。
◆血管の老化に関係
オリーブオイルは抗酸化作用の強いβ(ベータ)カロテン、動脈硬化の原因となる悪玉コレステロール値を下げるオレイン酸を豊富に含む。内科・循環器科の専門医で「人は血管から老化する」(青春出版社)などの著書がある池谷医院(同あきる野市)の池谷敏郎院長は「血管の疾患や老化は摂取する油の種類やバランスと関係しています」と指摘。サラダ油などに多く含まれるリノール酸は体内でアラキドン酸(AA)となる。細胞の形成などに必須だが、過剰に摂取すると動脈硬化の原因となる。
池谷院長は「魚介に多く含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)に対しAAの比率が増えると炎症が起こりやすくなり、動脈硬化のリスクも高まります。AAの割合が減ると炎症は抑制され、サラダ油をリノール酸の含有量が少ないオリーブオイルに置き換えることをお勧めします」と説明する。
さらに「ビタミンA、D、E、Kは脂溶性で油脂を摂取しなければ体内に吸収されません。朝食には食物繊維や各種のビタミン、ミネラルなど不足しがちなものを最低限取りましょう。オリーブオイルを入れた野菜ジュースは好適です」。
◆香りで食材選び
さぬきやの店主、近藤康浩さんは「おいしくて健康的が料理の基本」と話し、池谷院長の説明とも合致する。ヨモギはビタミンAが多く、オリーブオイルと一緒にめんに練り込むことで健康成分をたくさん取ることが可能だ。「だしのうま味は和食の要」とし、カツオ、イワシなどだしの材料となる魚は本来オリーブオイルと相性が良い。
近藤さんは「オリーブオイルのコク、まろみを生かし、青葉や海藻のような香りからヨモギ、みそなどを選びました。香りのほか、スパイシーさ、えぐみ、苦みなどから連想される食材を自由に思い浮かべていくことで料理のアイデアが生まれます」という。
◆減塩にも役立つ
食物学の学術博士で日本獣医生命科学大学客員教授の佐藤秀美さんもオリーブオイルの香りに着目し「ほのかな苦み、抗酸化成分がもたらすピリリとした刺激も含めて風味と捉えれば、薬味として日常の食卓で大活躍させることができます」と話す。
青葉の香りは大根おろしの新鮮さをアップさせ、塩ザケに塗って焼けば脂溶性抗酸化成分のアスタキサンチンの吸収率もアップする。佐藤さんは「冷ややっこにはシソ代わりとしても使え、しょうゆがなくてもおいしく、減塩につなげることもできます」と話し、オリーブオイルで炒めたパセリとニンジンのきんぴらなどの料理も提案する。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170324-00000537-san-hlth