地質図は学術用としてだけでなく、土地利用や資源探査、防災などで重要な基礎資料となる。新大などは今回、河川など水辺の堆積物で形成され、軟弱な地盤の「沖積層」が覆う新潟市域の地質について、これまでの研究成果を基に細かく分類。産総研が作成している全国各地の地質図では5種類程度なのに対し、深さ5メートルまでの地質を20種類に色分けして示した。
例えば、濃いピンクで示した腐植土が40%以上の「砂及(およ)び泥」の地盤は、地震の際に液状化が起きる可能性がより高い。薄いピンク色は腐植土が40%を下回る軟弱な地盤で、鳥屋野潟周辺や亀田地区などに広がる。また「砂丘列」の砂が分布する黄色の地盤は比較的固いという。
また、沿岸部を震源とする地震の場合、押し寄せた津波が信濃川などからあふれ出るとみられ、地質図の作成に携わった新大災害・復興科学研究所の卜部(うらべ)厚志准教授は「川も氾濫するということを知ってほしい」と注意を促している。
今回、国内最大の沖積平野である越後平野の西にある角田・弥彦断層一帯の地質について、5万分の1のスケールでは初めて公開。「(新潟を含む)東北地域の中で最も活発な活断層」(卜部准教授)という同断層の活動は、新潟市域での強い揺れや津波、液状化の予測に大きな影響を持つ。
同断層が前回、大きく動いたのは約1200年前と確認されており「角田・弥彦断層を要因とする大地震はいつ発生してもおかしくない。大地震に備え、住み替えなどの際に地盤改良工事などを施す必要がある」と卜部准教授は話す。
今回の地質図は「5万分の1地質図幅」シリーズの「新潟及び内野」として産総研が発行している。税込み2375円。問い合わせは産総研の地質情報基盤センター出版室(電)029・861・3601。